ユズ(柚子)の隔年結果の低減−ルビスクの散布

黄化完熟後に収穫するユズ(柚子 C. junos )は、柑橘の中でも「オモテ年ウラ年」とも呼ばれる、隔年結果になりやすい常緑木です。ユズの果実は、酸味と共に、さわやかな香りが特徴で、ユズ加工食品ブームのため、生ユズ果が、市場で奪い合いになり、売値が高騰してきています。ユズ圃場を増やせば良いのですが、接木苗を定植しても収穫開始できるまでに8年前後必要で、早急な市場の要求には対応できません。

弊社と大分大学は、ユズの生産性を早急に向上させる技術開発を検討しております。具体的には、現在あるユズの樹の生産性を高めるために、隔年結果の低減技術の開発を目的とした取組を2007年から日田市役所農政課と(株)つえエーピーのご協力を得て実施しております。

カボスで有名な大分県ですが、九州中央部の山間地に位置する日田から津江地区は、古くからのユズの産地です。寒暖差が激しい山地のユズのため、深い香りが特徴です。

日田地区の熱心なユズ生産者である穴井さんご兄弟の一家は、ユズ苗木の定植、圃場拡大、生産を30年以上にわたりやってこられた方です。この穴井さんのご協力を得て、「ユズの隔年結果の低減が、ルビスクの葉面散布で可能であるか?」2007年度と2008年度の二年間散布試験を継続しました。

試験に使用した葉面散布剤は、ルビスクの展着能を向上させた改良型です。この葉面散布剤の500倍希釈液を、ゴールデンウイーク後から秋まで、月に二回の頻度で、継続散布を、2007年度と2008年度の二年間実施して頂きました。

ユズの樹は、2007年度がオモテ年、2008年度がウラ年の樹を選定して頂き、全く同じ樹に対して散布を継続しました。試験区の樹は、実の数を評価するために摘果作業を実施しておりません。以下にそのデータを示しています。


ユズの樹は、放任するとまっすぐな巨木になり、収穫には長い梯子が必要になります。穴井さんのユズ圃場では、主な枝を3〜4本に分け、背丈の低木になるように仕立ててあります。このため、樹全体のユズ果実の個数を枝数で割った個数も評価値としました。具体的なデータを次ぎにまとめています。


初年度2007年は、6月の末に7本の樹の小さな柚子果実に番号札(一つの樹に10個)をつけ、その大きさを月に一度ノギスで計測しました。残念な事に、2007年度の柚子果実の大きさにおいては、大きな差が認められませんでした。次ぎにまとめています。


果実数を決定する花芽分化は前年の夏に決まる点を考えると、2008年の隔年結果は2007年度の散布効果が出ているのかもしれません。また、2007年の収穫後の樹液濃度が、散布区の樹が高かったのかもしれません。2008年ウラ年の隔年結果を回避した樹が、2009年度にどのような生産能を示すのか、さらなる継続散布評価が必要です。試験開始した2007年度では玉太りに対しては顕著な散布効果が、認められていません。しかし、継続した散布を3年間実施した後の2009年の収穫では、果実の数に加えて、その肥大も向上するかもしれません。

まとめてみますと、2007年(オモテ)、2008年(ウラ)での隔年結果低減試験では、改良ルビスクの散布は効果が認められました。しかし、土壌や気象条件が異なる、他のユズの樹でも同じ散布効果が認められるか、否かは、さらに一般化した取組が必要と考えています。

どうか、他の柑橘や、他の果樹へのルビスクの散布をお試し下さい。可能であれば、ご使用後の感想を弊社まで教えて頂けると幸いです。

記述者 大分大学 石川雄一 2009/2/2